Will you kill someone you love, because of love?
”喰霊-零-”
というアニメをご存知でしょうか。
2008年の作品とは到底思えない美麗なアニメーションに、作詞作曲家の魂が込められた心揺さぶる感動的な音楽。
そして何より涙なしでは見ることのできない蠱惑的なストーリー。
どこを切り取っても最高で、最上で、至高の作品で、私の人生を最も揺さぶった作品の一つであると言って過言ではありません。
家族愛というテーマを、12話の中で美しく描き切った真の名作なのですが、
残念ながら知名度は非常に低く、アニメ好きを豪語する人間でも知らない人が多い作品なのです。
いわば知られざる名作アニメ。
今回は、そんな知られる名作である「喰霊-零-」について、徹底的に熱く語っていきたいと思います。
喰霊-零-とは
喰霊-零-とは退魔師である二人の女子高生の愛憎の物語です。
退魔師とは人の世に死の穢れをもたらす存在、つまるところ怨霊を命がけで退治する使命を持った人達であり、この物語の主人公たちは霊感のある、いわば”視える”人。
この世界では一般人に見えていないだけで、実は怨霊による被害が各地で発生しています。
視えていないだけで、実際に僕らの生きてる世界でもこんなことが起こっているのかもしれない……と、いった設定なわけです。
実際、舞台も普通に東京で、そこいらでよく見たことのあるビルだとか公園だとかがちょいちょい出て来ます。
ただ、こういった説明を聞いてよく頭に思い浮かぶ
「異能の力を持った主人公たちがズバズバと悪霊を切っていく爽快退魔アクション!」
……なんてものとはこの作品、180度方向性が異なります。
ビターで重い人間関係を抱いた物語。
それが喰霊-零-なのです。
喰霊-零-のあらすじ紹介
最強の退魔師の家系に生まれた少女である土宮神楽。
とある怨霊に最愛の母を殺されてしまった彼女を引き取ったのが、諫山家の養女であり、神童と呼ばれる諫山黄泉であった。
最初は心を閉ざしていた神楽も、黄泉の温かさに触れ、次第に二人は本物の姉妹のようになっていく。
血のつながりも何もないけれど、それでも二人は本物の姉妹のように仲睦まじく成長し、立派な退魔師として名を残すようになる。
しかし、そんな幸せは長くは続かなかった。
殺生石と呼ばれる、九尾の狐の魂の破片である赤い石が登場したことにより、関東は異常な現象に振り回されることになる。
黄泉の「養子でありながら獅子王を、諌山家を継承する」という立場と、「人の欲望を剥き出しにさせ、破滅へ導く赤い石」が複雑に絡み合った時、
純粋な愛情は、醜く悍ましい憎悪へと変貌を遂げるのであった。
主要登場人物紹介
諌山黄泉
本作の主人公。喰霊-零-はこの少女の物語と言ってなんら過言ではありません。
彼女は諌山黄泉。
1000年以上の歴史を持つ名刀である「宝刀”獅子王”」を代々引き継ぐ名家、諌山家の跡取りです。
宝刀獅子王は本当に由緒ある刀で、退魔師会でも一目置かれる名刀なのですが、諌山黄泉は14歳にしてそれの保有を認められています。
それだけの実力を黄泉は持っており、「神童」としてこの世界に広く知られる存在です。
しかし、実は彼女は「養子」であり、諌山の血を継ぐ人間ではありません。
そんな人間が、諌山家の至高の宝具である獅子王を手にし、諌山の家督を継ごうとしている……。
それが彼女に災悪をもたらし、最低の悲劇へと結びついていきます。
彼女自身は非常にできた人間であり、親を怨霊に殺された神楽の面倒を買って出てて、お姉さん的な存在としてお世話してあげるなど、非常に素晴らしい人格者です。
退魔師としての実力も覚悟も責任もあり、かといって普通の少女らしさを失ってもいない……。
少し普通とは言えないけど、家族愛に溢れたやさしい少女。それが諌山黄泉です。
そしてこの物語は、そんな非の打ち所がない心優しき少女が、たった一つの石のせいで破滅していく物語になります。
土宮神楽
本作のもう一人の主人公。
黄泉とは義理の姉妹。血のつながりは全くないけれど、一緒に過ごしている内に本物の姉と妹みたいな関係になっていく。
諫山以上の名家である、土宮家の正当な跡取り。
土宮の知名度たるや宝刀獅子王など比べるまでもなく、退魔師なら必ず常識として知っている程。
最強の霊獣である「喰霊白叡」を代々継承している家系であり、神楽もそれをいずれは引き継ぐ運命にある。
母親を失っており、血縁者は父親のみだが、あまりうまくいっていないのもこの物語のネック。
神楽の潜在的なスペックは計り知れないものがあり、中学二年生にして神童である黄泉と同格以上の刀の腕を持っているほど。
この作品は、黄泉の物語でもあり、同時に彼女の成長の物語でもある。
その成長が、美しいものであるとは限りませんが。
諫山冥
諫山の血を継ぐ、諫山家の正当な跡取り。
黄泉の義理の従姉にあたる。
美しい容姿に、類まれなる剣の才能、そして明晰な頭脳など、非常に才覚に恵まれた女性。
諫山の正当な血を継ぐものであり、それを継ぐに値する実力を持ち合わせているにも関わらず、諌山の家督を養子である黄泉に奪われた悲劇の人。
そのことについて気にしていない趣旨の発言をしているが、クールな表情と静かな物腰のせいで本心は掴めず。
黄泉とはあまり絡みがないが、時折絡むときには仲の悪さが少々垣間見える。
ある意味でこの作品における一番の悲劇の人なのかもしれない。
飯綱紀之
黄泉の許嫁。
管狐と呼ばれる霊獣を扱う家系の人間で、黄泉とは婚約予定。
双方ともに親に決められた結婚相手であり、自分の意思での婚約ではないが、満更でもない様子。というより相思相愛。
ストーリーでは中心人物、という訳でもないが、黄泉の破滅において予期せずそのトリガーとなってしまう。
彼がもっと迅速に行動していれば、もしかするとこの世界の破滅の運命は変えることが出来たのかもしれない。
三途河カズヒロ
喰霊-零-ファン共通の憎いクソ野郎。
カテゴリーAと呼ばれる、最強クラスの怨霊。
この物語を悲劇へと導いた滞在人であり、すべての破滅を引き起こした元凶。
この少年の行動が全ての悲劇を巻き起こし、尊く汚してはならない思いを踏み躙り、全てを崩壊させた。
まじで此奴さえいなければ……。
喰霊-零-の見どころ
①圧倒的なまでのシナリオの構成力
とにかく喰霊-零-はシナリオの構成力が高く、徹底的に作りこまれています。
アニメだといわゆる「水着回」みたいな、シナリオ進行に一切関係せず、ただのサービスシーンみたいな回が有ったりしますよね?
日常シーンだったり、ギャグ回だったり、とにかくアニメには癪稼ぎ等の理由からシナリオ進行に関係のない回があることは珍しくないのはご存知かと思います。
ですが、喰霊-零-にはそういったシナリオに関係の無いシーンが一切存在しません。
水着回やギャグ回のような、「繋ぎの話」だと思っていた話ですらが、後に残酷な運命を生み出す優秀な伏線になっています。
無駄な話が、シナリオ進行に関係の無い話というのが一切なく、洗練され作りこまれた物語。それが喰霊-零-なのです。
ちなみに前半のほのぼのシーンはほぼ全てが後半のシリアスへのフラグです。
詳しく語りすぎるとネタバレになるので控えますが、ここまで上手く人の心を描き切った作品も珍しい。
②魅力的なキャラクター陣
メインキャラ一人一人に深い背景があり、サブキャラクターにもそれぞれの魅力があります。
- 養子でありながらも才能があった故に後継者に選ばれた少女。
- 最強の家系に生まれ、強くなることを使命付けられた少女。
- 娘を愛するが故に厳しくしか接することのできない父親。
- 愛する女を信じたくても殺人犯である可能性を否定しきれない男。
等々。
その中でもやはり特筆すべきは諌山黄泉、土宮神楽の二人。
特に諌山黄泉に関しては養子であり、そもそも直系の子供ではないなど、非常に人間関係が複雑。
これに関しては見て感じでくれというしかないですが、とかくキャラクターが全員魅力的です。
敵キャラですら、(見てるととある奴が異常なまでに憎くなりますが)敵キャラなりの魅力を保有していて、一概には否定できなくなります。
③作画、音楽が素晴らしい
喰霊-零-はSD画質という奴で制作されていたらしく、現在のアニメーションのような綺麗さはありませんが、ワンシーンワンシーンに作画陣の心が感じられる、力の入った作画が魅力です。
とても2008年の作品と感じさせないその作画は、普通に今でも違和感無く見れてしまいます。
そして何より特筆すべきは音楽でしょう。
喰霊-零-に使われている音楽はどれも超名曲ばかり。
特に「Paradise Lost」、「夢の足音が聞こえる」、「Dark Side of the Light」、「霊喰い」、「Reincarnation」は真の神曲です。
こいつらだけでも聞くべき。この5曲は喰霊-零-を見た人なら聞けば泣けるはず。
この百合ームコロッケというアルバムにこの5曲はすべて入ってるので、是非聞いてみてください。
喰霊-零-のジャンルは泣きアニメ
このアニメは泣きアニメです。
萌え萌え系とか爽快バトルアクション物とかではありません。
純粋なる感動物アニメです。
多量のバトル要素、ほんとうに微量の恋愛要素も確かにありますが、先ほども言った通りテーマは愛憎と姉妹愛。
萌え萌え等を楽しむものではなく、切なすぎるストーリーを楽しむタイプの、まじで号泣できる作品です。
自分が見たアニメの中でもトップクラスに泣けましたね。
クラナドも泣きましたが、こっちの方が泣いたかもしれない。
この作品を見て本格的にアニメーションにハマっていったと言っても過言ではないので、思い出補正も入っていたりしますが、とかく泣けます。
泣きアニメなので、萌えとか期待してみちゃだめですからね。
もし視聴するなら絶対に気を付けてほしい2つの注意
内容としては非常に濃く、物語の完成度が究極に高い喰霊-零-。
しかしながら二点だけ絶対に気を付けてほしい点があります。
それは
- 一話切りを絶対にしないこと
- 百合アニメであるとの噂を鵜呑みにしないこと
の2つです。
1話で絶対に視聴を辞めないことが何より大事
実はこの作品、放送前に凄いドッキリをしかけてたんですね。
それは、公式が直々に主人公を偽って発表していたというドッキリです。
どういうことかというと、この作品の主人公は先ほど紹介した二人なんですが、公式側は
この人たちが主人公ですと発表していました。公式HPにもしっかり載せて。
それで、ぶっちゃけネタバレなんですが、この人たち劇中で滅茶苦茶カッコいいのに一話で全滅するんですよ。
それもかなりあっさり。声優も大御所だったりするのに。
そして全滅した後に話が黄泉たちに移っていくんですね。
でも、ここで切ってしまう人が多かった。
私が知ったのは2009年だったので体験できなかったんですが、公式HPが一話放送後に一気に変えたりもしていたそうですが、一話で主人公らしき集団が全滅することに意味の分からなさを感じた人が続出したとか。
なので先にネタバレしときます。こいつら主人公じゃないです。麗しき女の子が主人公です。
なので見るとしたら一話で切らないでくださいね。約束ですよ。
喰霊-零-は百合アニメじゃねえ!
喰霊-零-は百合アニメ。
よくネットで聞く言葉です。
いや、違うから。百合アニメなんかじゃないから。
なんかって言い方は百合アニメ好きに失礼かもだけど、とにかく百合アニメじゃないから。
百合アニメっていうのはこういうのを言います。
https://www.nicokira.com/animation3/
確かにこの作品も
これが
こうなって
こんな感じになったりしたけど、百合じゃない!百合じゃないから!(焦)
見返してたら思った以上にがっつりだった。確かに百合と言われても仕方がないレベルではあったね。
しかしガチレスさせていただくと、本当に違います。このワンシーンだけです。
「レズアニメ大好き(^ω^)ペロペロ」って感じで入ってくるのはいいんだけど、
「全然レズじゃねーよこれ(“゚д゚)、ペッ」って出てかないで欲しいですね。
また、「レズは(ヾノ・∀・`)ムリムリ」って感じで参入を拒むのもやめていただきたい。
偏見や色眼鏡なしに参入しましょう。
喰霊-零-はいつ頃のアニメか
喰霊-零-は2008年のアニメです。
同時期(2008年)に放送さていたアニメをまとめると
こんな感じです。有名どころばっかですね。
ここには載ってないけどコードギアスとかもありました。
言動がおっさん臭いやもしれませんが、この頃のアニメ界って本当に化物揃いだったよね……。
先にも述べた喰霊-零-の知名度
ほぼほぼゼロと言っても過言ではないのが残念。
周りのアニメ好きを公言している方々に
「ねね。喰霊-零-ってしってる?しってる?」
って聞いてみてください。
多分ほぼほぼ全ての人間が、「いや……知らない子ですね」と回答してくると思われます。
同時期にクラナドとかefがやっていたらしく、その陰に埋もれてしまったという……。
僕もこれを見つけたのは本当に偶然ですしね。
「名前がカッコいいアニメあるじゃん」と思って流してたらはまってしまったという。あの時の自分グッジョブ。
更には一話で公式が盛大なドッキリを仕掛けたせいもあって継続して見られることが少なかったとか。
とにかく、「好きなアニメは?」って聞かれて「喰霊-零-」と答えたら相手がポカーンとする確率は非常に高いと思われます。
喰霊-零-はdアニメストア、U-NEXTにて視聴可能
喰霊-零-は
にて視聴可能です!
その中でもオススメはdアニメストア。
月額432円でアニメが見放題だし、しかも最初の31日間無料で視聴できるので、無料で喰霊-零-を視聴出来ちゃいます!
U-NEXTも無料期間が31日あるんですが、その後の月額が結構高いんですよね。
なのでオススメはdアニメストアになります。
dアニメストアで是非喰霊-零-をご覧ください!
シリアス物が好きならば必ず気に入る作品:喰霊-零-
非常に重い内容となってはいますが、その分見終えたあとのカタルシスがハンパではなく、見ごたえのある作品です。
多分魔法少女まどか☆マギカとか好きな人なら面白いっていうと思います。あのシリアスよりも重いかもだけど。
とにかく、キャラもかわいくて魅力的だし、シナリオも歴代まれに見るレベルで秀逸。
そんな喰霊-零-、是非手に取ってみてください。絶対に視聴の価値はありますよ!
それでは今日はここで失礼をば!
ちなみに
友人もブログで紹介してくださった
矢駒さんという相互フォロワーで、色々ご一緒させて頂いている方がいらっしゃるのですが、激プッシュしてたら感想まで書いてくれましたw
僕とはまた違った感じで感想を書いてくれてるので、是非ご覧ください!
あと、実は二次創作書いてたりする
実は私喰霊-零-の二次創作を書いておりまして……。
まあオリジナル主人公でてきちゃったりして好みがわかれる作品になってしまうんですが、喰霊-零-を見た後ならニーズがあるジャンルじゃないかと。
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関連記事
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素敵!