前巻である12巻発売から約一年。
ついに発売しましたね、俺ガイルの13巻。
全巻である12巻は、雪乃が珍しく主体的に行動したプロムの企画を、ままのんがぶっ壊しに来て、比企谷が雪乃を助けたいと思ったところで終わりました。
12巻のおさらいがしたい方はこちらをご覧ください。結構詳しく纏めてあります。
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VSままのんと、由比ヶ浜の気持ちの行方が非常に気になりすぎて夜しか眠れなかった12巻から続いた13巻。
果たしてどんな内容になっているのでしょうか。
ネタバレ満載で、私なりの感想と考察をお届けしていこうと思います。
※マジネタバレ満載なのでネタバレ嫌悪厨はホントにみないでね☆
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13巻のあらすじ
暦は雪解けの季節を迎えるが、新しい希望の芽吹きはまだ遠く感じられる3月。
それぞれの想いを言葉にし、行動しようとする雪乃、結衣、八幡。そして、それは今のままの関係でいることを終わらせることでもあって――。
雪ノ下雪乃は、最後まで見届けて欲しいと願った。由比ヶ浜結衣は、このままずっと一緒にいられたらと祈った。美しい夕日に時が止まればと願っても、落日を迎えなければ新しい日はやってこない。前に進むために諦めること、終止符を打つこと。悩むまもなく、巻き戻すことも出来ず、エンドロールは流れ始める……。
12巻のあらすじ復習
雪乃のお願いを受けて、動き出す奉仕部。
生徒会から入ってきたプロムという難題に、奉仕部の力無しで雪乃が立ち向かっていきます。
順調に満帆にプロムは進み、奉仕部の依頼もこれで無事完結か?となったところで、雪ノ下母の妨害が入ります。
順調だったはずが、開けなくなるプラム。雪乃の思惑は、またしても潰されます。
動けなくなる雪乃。そして雪乃からのお願い故に動けない奉仕部。
しかしながら、比企谷八幡は、一つの決断をします。
雪ノ下雪乃を助けるという、一つの決断を。
何故なら、
「……いつか、助けるって約束したから」
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13巻の感想:ぶっちゃけそんなに話は進まなかった
ぶっちゃけると、そんな話は進みませんでした。
感覚としては10巻、11巻を読んでるみたいな感じ。
あそこって話があんまり進まなかったじゃないですか。それとほぼ一緒ですね。
多分アニメ化したら1話で終わる。原作読んでる人からすれば10巻を1話でやられた時の破壊力凄かったよね。
がっつりネタバレをかますと、13巻でやってたことは
- 雪ノ下雪乃のプラムを成功させるため、もっと低俗な案を八幡が作る
- 各キャラの独白
- ままのんの説得
の三つです。細かく言えば色々ありましたが、ぶっちゃけやってることはこの3つだけでした。
……あと全く関係ないんだけどさ、ぽんかんさん、絵柄明らかに変わったよね。
13巻におけるメインはVS雪ノ下雪乃
この巻のメインはなんと、VS雪ノ下雪乃でした。
てっきり僕はVSままのんがこの巻のメインに添えられていると思ってましたが、
VSままのん、10ページぐらいで終わったよね。ホント。
超あっさり。まじで。
例えるなら俺ガイルの原作10巻がアニメ版で1話に纏められるぐらいの短さ。
いや、VSままのんはもっと短かったけどさ。
ってなる短さ。陽乃もそんな大きな障害にはならなさそうだし、ちょっと肩透かしを食らった感じが半端じゃなかったですね。
なぜVS雪ノ下雪乃になってしまったのか
ただ雪ノ下雪乃を助けただけじゃ彼女の問題は解決しないから
マジでお前ら面倒くさすぎだろ……と言いたくなりますが、
単に八幡が雪乃を助けるだけでは、雪ノ下雪乃の問題は解決しないのです。
何故ならそもそもこのプロムを雪乃が一人でやり遂げようとしてるのって、
「誰か(特に八幡)に頼らず、雪乃一人の力でやり遂げたい」
っていう考えがあったからじゃないですか。
以前から陽乃に言われていた、雪乃の弱さ。誰かに庇護されて生きてしまう、雪乃の欠点。
このイベントはそれを乗り越えるための試金石でもある訳ですよ。
そう、つまりはこのプロムは一人でやり遂げなきゃ意味がないんですね。
八幡に助けてもらったら意味がない……。でも八幡はそんな雪乃を助けたい……。
つまり
- 雪ノ下雪乃を助けるけれど
- 雪ノ下雪乃を助けてはならない
っていう究極の矛盾が生じてしまっているわけです。
だから彼女を助けずに助けるという究極の矛盾を体現する方法として、
「雪ノ下雪乃と対立する」
という方法を八幡は取った訳です。まぁ結果的には助けることになっちゃうんだけどさ。
とは言えVSままのんは本当に面白い
ただ、語弊が生じそうなのでこれだけは言っておきます。
まじで一瞬で終わりはしましたが、
話としては本当に面白かったんですよ、VSままのん。
っべー!渡さんまじやるやん!ってなりましたもんね。
ままのんの心情を見抜いた上で、
”自分が「雪ノ下の交通事故の被害者」であること”
を適切なタイミングで切り出してままのんを味方につける所なんか、最高にクールな頭脳戦でした(キチガイクラスのネタバレ)。
ここで雪ノ下家とのファーストコンタクトである交通事故の話を持ってくるか!ってホントに感動しましたね。
これに関してはマジ読んでください。ある程度の読解力ある人なら比企谷の機転の利き方の素晴らしさに感動できると思います。
ただね。
ぶっちゃけVSままのんがこの巻のメインになると考えていた勢としては、結構肩透かしを食らった感じが半端じゃなかったのは純然たる事実っすね。
足を引っ張る「共依存」
雪ノ下陽乃から12巻で「君たちの関係は共依存だ」と言われてましたよね?
めっちゃ意味深に、的確に彼らの心を抉るかの如く言われていたそれですが、
当然、13巻でもかなり重要なテーマとして引っ張られ続けてます。
何というか、もはや
「共依存って言葉に沿わないよう行動すること」
が目的になっちゃってないこれ?ってぐらいの勢いで足を引っ張られてました。
それだけ共依存って言葉は自分らを的確に表す言葉だと、彼らは思ってしまったんでしょうね。
まーでも、仮に彼らの関係が共依存だったとして、そんなに悪いことなんですかね?と僕は思っちゃいますが。
八幡は誤魔化してるけど、結局は恋愛感情
私のお気に入りキャラである葉山隼人と八幡がこんな興味深い会話をしていました。
「あいつが助けを必要としてなくて、それでも俺が助けたいと思うなら……、それは共依存なんかじゃない。それが証明出来ればいい」
「比企谷……。その感情をなんていうか知っているか?」
「知ってるよ。男の意地っていうんだ」
という会話を。
また、雪ノ下陽乃ともこんな会話をしてました。
「……ねぇ。なんで比企谷くんは(雪乃のために)そこまでするの?」
「奉仕精神……、ですかね。助け合いの心。誰かを助けるのに理由が要ります?」
(中略)
「嘘ばっかり吐いて……、ほんとのことは言わないんだね」
「ほんともなにも、特に言うことないですから。仮にあったとしても……
それを言う相手はあなたじゃない」
という会話。
「自分が無償でもなんでもとにかく何でもしてやりたくて」
「もし告げるなら直接告げるべき内容」
なんて、それしか考えられないですよね?
つまりは比企谷八幡が雪ノ下雪乃に、共依存だとかそんなチャチな物は等に超えた感情を持っているということ。
もっと端的に言うなら
雪ノ下雪乃に比企谷八幡が抱く感情は恋愛感情であるから、彼は雪乃を助けているのだ
ということを、この二つの会話では言っているのだと解釈できます。
というよりそれ以外で解釈は不可能ですよね。
もしこれで
渡航「実は親愛感情でしたwwwウヒヒwwwサーセンwww」
とかやられたら俺ガイルの小説全巻ジッポのオイル撒いて燃やしてYoutubeにアップしてやるわ。絶対。
雪乃のお願いと奉仕部の解散?
奉仕部の勝者
紆余曲折あり、1巻で言っていた
「奉仕部での勝者」
は雪ノ下雪乃に決まります。
最初も最初のほうに言っていた、「人を助けた数で負けた方が勝った方の言うことを何でも聞く」という奴ですね。
最早忘れてましたが、ここでそれを出してきます。
その権利を行使したのは雪ノ下雪乃。
そしてそのお願いとは「由比ヶ浜のお願いを聞くこと」というものでした。
ただ、このお願いは結局逃げ
由比ヶ浜のお願いを聞いてあげて欲しいというお願いですが、
このお願い、結局逃げてるだけなんですよね。
だってこのお願いって自分の気持ちにも、由比ヶ浜結衣にも真正面から向き合うのを拒否したってことじゃないですか?
雪ノ下って間違いなく比企谷のことが好きですよね。
そしてほぼ間違いなく、八幡の心も雪ノ下に向いているわけで……。
二人が思いを伝え合ったら、間違いなく成功して相思相愛になってしまうからこそ、由比ヶ浜はなぁなぁな関係を続けて、現状維持という甘い毒を得ることを望んでいる訳です。
でも、雪ノ下雪乃はその自分の思いを、比企谷八幡に伝えることはしなかった。
”全部貰う”と宣言し、正面から勝負を挑んだ由比ヶ浜結衣に対して、身を引くという選択肢を選び、戦うことをしなかった。
そう。結局「プロムを一人でやりたい、成長したい」とか言っておきながら、
自分の気持ちにも、由比ヶ浜の気持ちにも正面から向き合わなかった訳です。
二人に対して誠実でありたいのなら、むしろ由比ヶ浜結衣とは真正面から喧嘩するべきだと思うんですけどねぇ。
ここら辺が「雪ノ下雪乃が成長できない理由」なんじゃないのかなーって個人的に今回思いました。
14巻の予想
メインは由比ヶ浜結衣VS雪ノ下雪乃
14巻の予想ですが、メインは
由比ヶ浜結衣VS雪ノ下雪乃
になるんじゃないかと思ってます。
今回雪乃は「由比ヶ浜さんのお願いを叶えてあげて」って感じで由比ヶ浜結衣との闘いから逃げたわけですが、
多分由比ヶ浜結衣は雪ノ下雪乃の逃げを許さない
と思うんですよねぇ。
一応雪ノ下雪乃に宣戦布告までしている由比ヶ浜結衣ではありますが、
「自分の願いを叶える」という雪乃の願いで得られた関係に、彼女が果たして納得するのか……。
そこが次巻の焦点になりそうです。
奉仕部解散?
明言はされてないんですが、遠回しに「奉仕部の解散」が示唆されてます。
八幡が奉仕部に居る理由。
それは一応初期も初期の頃に言われてた「勝負」が切っ掛けでもあります。
そして今回、雪乃と八幡の会話で、こんなものがありました。
「私は大丈夫。もう、……大丈夫。あなたに助けてもらえた。だから、この勝負も、この関係も……、これで終わりにしましょう」
それが彼女の答えなら、俺が否やを唱える理由はない。
助けるという目標は達成され、関係の終了をもって共依存は解消され、男の意地も貫いた。
奉仕の精神などもとより持ち合わせてはいない。部活も仕事もこれで終わりだ。
だから、もう何もない。俺が彼女に関わる理由はすべてなくなった。
「わかった。……俺の負けだ」
要約すると、
- 雪乃を助けたから、比企谷が雪乃に関わる理由も無くなった
ということを言っている訳ですが、つまるところこれって
奉仕部の解散
を示唆してますよね?
というよりもはや雪ノ下と関係を解消するぐらいのことをいってますよね。
ほんと中々めんどくさい方々ですなぁ(笑)
由比ヶ浜結衣はお願いを自分に都合よく使わない
ここ最近最も成長してるのって、由比ヶ浜結衣ですよね。
自分の心に真正面から向き合っているし、周りのことも一番見ているのが由比ヶ浜結衣だと思ってます。
確かに雪乃に「遠慮はしない」と宣戦布告してはいますが、最近の凄いまっすぐなガハマちゃんが、自分の筋を曲げるとは思えないんですよね。
だから多分、彼女のお願いはこうなると予測してます。
「プロムで、私かゆきのんを選んで」、と。
八幡が雪ノ下雪乃をプロムに誘うと予想
八幡と雪乃の関係はここで終わり!的なことを13巻の最後のほうでは示唆してたわけですが、
つまりは恋人関係になれば問題なくね?
っていう話ですよね。
恋人関係なら理屈だのなんだのなんてどうでもよく、隣にいていい関係な訳ですから。
まぁそんなにすんなり二人がくっつくとは思えませんが、
八幡が雪乃のことをプロムに誘うぐらいはするんじゃないかと。
つまりは二人の気持ちへの回答、そして比企谷八幡の二人への告白が、プロムのお誘いと相成る訳です。
プロムを3巻分にわたって引っ張り、問題の解決のツールとして作者は物語を組み立てたわけですし、多分使ってくるんじゃないかな。プロム。
直接告白をしないにせよ
- 由比ヶ浜結衣を振って
- 雪ノ下雪乃を選んだ
という事実をプロムでは作り出すことが出来るわけですよ。
それを踏まえて、由比ヶ浜結衣のお願いは「プロムで選んで」っていうものになるんじゃないかなーとね。
蛇足の補足
本物の定義
良くこの物語で言われる「本物」ですが、この定義に近いものが平塚先生の口から語られてると思うんですね。
それがこちら。
「計算しかできないなら計算しつくせ。全部の答えを出して消去法で一つずつつぶせ。残ったものが君の答えだ」
「計算できずに残った答え、それが人の気持ちと言うものだよ」
つまりは理屈で割り切れないもの。それが人の気持ち(=答え)だと平塚先生は述べている訳です。
そして今回の13巻では理屈では割り切ったはずなのになぜか胸に残る疼痛……それが雪乃と由比ヶ浜の口から語られています。
雪ノ下陽乃が求める本物っていうのが何なのかは正直分かりませんが、
彼女らの心に残った痛み。それを偽物と断じることは決してできないでしょう。
それに3人がどう結論を出していくのか……非常に見ものですね。
まとめ:14巻はよ
14巻はよ!としか言いようがない。
なんだっけ?当初予定だと2か月連続発刊じゃなかったでしたっけ?
いつの間にか延長になってましたが(笑)
14巻は
- 由比ヶ浜結衣のお願い
が何になるか、がまずは大きな焦点となりそうです。
現状維持を望んでいるガハマちゃんではありますが、3人で仲良く……っていうおねがいにはならないでしょうからね。
何気葉山隼人と雪ノ下陽乃の絡みも楽しみだったりするんだよなぁ。
さて、長くなりましたが、今回はここいらで終わっておきましょう。
奉仕部の完結編となる俺ガイル14巻、発売が待ち遠しいものです。