どうも、しなーです。
やーついに出ましたね友崎君の5巻。4巻の終わりが非常に気になる展開で終わっただけあり、非常に楽しみにしてたんですよ。
結論から言うと友崎君の最新巻である5巻、最高でした。
友崎くんはもともと「今一番来てるライトノベルなんじゃないか?」と思えるほどに秀逸な作品でしたが、今回のは特に群を抜いていましたね。
……ちなみに、この作品はそのうち間違いなくアニメ化すると思います。この予想は絶対当たります。断言しておきましょう。
さて、前置きはこれくらいにして弱キャラ友崎くんの5巻について語っていきましょうか。
※友崎くんって何?って人と、ネタバレあかん!って人はこちらをどうぞ。
https://www.nicokira.com/20171125novel/
私の考察、感想は一番最後に書いてあるので、感想考察のみで大丈夫!という人は最後をどうぞ。
弱キャラ友崎くんLv.5 あらすじ
教室での一件を受けて、まさかの師弟関係と相成った俺とたまちゃん。表情、姿勢、喋り方。俺は師匠として、自分が『リア充』になるために重ねてきた努力とノウハウを、玉ちゃんに伝えていく。一方、日南は日南で、裏で何やら動いていて―――。相反する考え方で問題に向き合う俺たちは、やっぱり協力はできない。でも、『大切な目的のためなら、自分を曲げるのも辞さない』こと。この戦い方はきっと、俺が誰かさんに教えてもらったことなのだ。
弱キャラ友崎くんLv.5背表紙より引用
簡単に言うと、クラスの女王様と揉めたたまちゃんが「自分を変えたいから手伝って」と友崎に相談し、それに友崎が力を貸して人生というゲームを攻略していくのが五巻です。
何故か正面切って動かない日南と、陰ながら(実質堂々と)友崎を助けてくれる水沢。一体物語はどう動いていくのでしょうか。
4巻から今回までのあらすじ
球技大会を成功に収めた友崎。それと同時に泉は中村への思いをようやく伝えることができ、晴れてカップルへ。
順風満帆のハッピーエンド。すべてが丸く収まる大団円……とはいかないのが友崎がチャレンジしている人生というゲームなのだ。
同じく中村のことを好いていた紺野エリカが、中村を取られた腹いせに平林という大人しい女子に嫌がらせを始める。
筆箱を落とすだとか、机をけるなどといった軽い、しかし目につく嫌がらせ。それが毎日行われたのだ。
そしてそれは次第にエスカレートしていく。ラインで平林のみを入れないグループを作ったり、シャーペンの芯をすべて折ってみたり……。
言葉にすれば簡単で大したことが無いように見える嫌がらせではあるが、やられている当人としてはそんな軽いものではない。
そんな時、一人の女の子が声を上げる。それがたまちゃんであり、5巻のメインヒロインだ。
「くだらないことはやめる!」とエリカを叱責するたまちゃん。その行いは清く正しく曇りのないものであったが、残念ながらそんなもの、自己中心的な人間に対して届くはずもない。むしろそれは火に油を注ぐ結果となるのだ。
エリカの標的はたまちゃんへと切り替わる。毎日毎日のいじめはたまちゃんへと行われるようになった。
あからさまに。でも証拠はなく。そんな質の悪いいじめを繰り返すエリカ。
たまちゃんは毎回それに対して反論するも、それは余計にエリカを刺激するばかり……。
それどころか毎回律儀に反抗してエリカの反感を買う玉ちゃんに対して「あいつが反抗さえせずにじっとしていれば……」と、クラスの心象すら悪くなる始末。
八方ふさがりなたまちゃん。このまま自分を貫き通していては、残念なことに勝つことは出来ないのです。
正しくとも、自分のやり方を変えなければならない。正しさを曲げなければ勝つことは出来ない。
それを理解した彼女は友崎に言うのです。
「戦い方を、私にも教えて」
自分を変えてきた先輩である友崎に。
たまちゃんとの密会。自分を変えてきた方法を伝授する友崎
日南と放課後やっていたような会合を、今度はたまちゃんと行います。
そこで自分が変わるためにしてきたあれこれを伝授する友崎。声のトーンですとか、表情、しぐさ。
たまちゃんは正しいが故に少しきつい言い方をすることも多々あり、そこを直そうという話になりました。
しかしたまちゃんのスペックは友崎を軽々しく超えていたようで、友崎にできたことはあっさりとできてしまい、友崎は涙目に。
声のトーンなどは柔らかくする努力などはしましたが、それでエリカのいじめが収まる訳もなく。
とりあえず二人で話し合い、一回はエリカの攻撃を我慢しますが、変えなくてはいけないのはたまちゃんだけではありませんでした。
悩む二人にお助けキャラ筆頭の水沢君登場
憎めないイケメンキャラである水沢が二人と合流します。
水沢は中村と一緒にたまちゃんをからかっていたこともあり、たまちゃんから苦手意識を抱かれているという事実が判明。
まずは水沢と仲良くなることから始めよう!ということで水沢との会話練習から始めます。
たまちゃんを変えるだけではこの状況は打開できません。
何故かと言うと、今現在、教室の空気がたまちゃんの敵に回ってしまっているから。
つまりたまちゃんが変わったとしても空気を変えない限りたまちゃんを取り巻く環境は変わらないのです。
ありますよね。空気の圧力って。あれが今全部たまちゃんにとって逆風な訳です。
お次に竹井
水沢の次は竹井に登場させます。
竹井?だれだそれ?って人は前の巻を見直してどうぞ。
水沢と友崎は話していくうちに「たまちゃんに足りていないもの」がわかり始め、それを学ぶための最も最適な人間が竹井だったという訳です。
そのたまちゃんに足りていないものとは「隙」でした。「可愛げ」とも言い換えられます。
パーフェクトヒロインな日南は完璧すぎて嫌味に感じる程の存在であってもおかしくはありません。
眉目秀麗、文武両道。完璧を行く彼女は、下手をせずとも敵視される対象となってしまってもおかしくはありません。
しかし、例えば「無類のチーズ好きである」みたいなワンポイントの可愛げを作り上げて隙を作っているのです(チーズ好きなのは本当)。
けどたまちゃんにはそれが無い。だからこそ可愛げのあるやつ代表!みたいなキャラの竹井と話させてたまちゃんに可愛げを生ませるヒントを見つけられないかを試しているわけですね。
でも一番の原因は「人に興味がない」たまちゃん
竹井と話させて、水沢と友崎はそれを観察することに徹していますが、そこであることに友崎は気が付きます。
それは「たまちゃんって実は他人に興味ないよな」っていうこと。
それをたまちゃん本人にぶつけてみると実際にその通りでした。
竹井の下の名前を知らなかったり、クラスメイトのことを全然知らなかったり、実はたまちゃんはクラスメイトに興味がなかったのです。
現在の目標は「クラスメイトにたまを受け入れてもらって、空気と周りを味方につけよう」というもの。
それだというのにたまが心を開いていないのではお話になりません。
よって目標の一つに「クラスメートに対して心を開く」という項目が追加されました。
順調に進むたまちゃんの人生攻略。しかし
竹井の可愛げを多少真似ながら人生を攻略しようと奮闘するたまちゃん。しかしながら、エリカの攻撃は超えてはならない一線を越えてきました。
それはたまの大事にしていたものを壊すという攻撃。
覚えているでしょうか?二巻でみみみが皆にプレゼントした埴輪みたいなキーホルダーを。
あれがたまちゃんにとっては非常に重く、大切なものになっていました。みんなとの絆の証――特にみみみとの――であるそれ。
そんな大切なものをエリカがぶっ壊したわけです。
これには流石のたまちゃんも「耐えられない」と弱音をこぼします。
珍しく激情に駆られ、エリカに一発ぶちかまそうとする友崎。そしてそれを冷静に止めるが静かに切れている水沢など、各々が激情を駆り立てられる一件となりました。
しかし一番切れていたのは何を隠そう日南でした。
「―――許さない」と一言呟き、エリカに対する静かな、しかし激しすぎる激情を顕わにします。
何かやるのだろうと友崎は確信するも、それを止めはしません。それどころじゃないですしね。
とりあえずたまちゃんのことを休み時間は交代制みたいな感じで見守ることにして、なんとか次の被害は防ぎます。
そして、日南が動いたのは次の日の放課後でした。
”魔王”日南葵
エリカへの攻撃
そこで起きていたのはエリカのシャー芯が全部折られているという異常な事態。
今までとは逆も逆。これにはエリカも激怒します。
そして「花火だろ。やったの」(花火=たまちゃん)とたまちゃんへと喧嘩を売り始めるエリカ。
しかし日南がそれを庇い、一触即発な空気に。
たまちゃんがそれをやっていないということは誰の目にも明らかであり、そこを攻め続けるのは明らかに分が悪いと察知したエリカはその標的を弱者へと移します。
それはエリカのグループで最下位に位置している女の子である秋山ちゃん。エリカのグループでも使いパシリみたいな扱いを受けている子で、最近日南と話していることが多かったので、標的としては十二分だったのでしょう。
しかし、秋山ちゃんはそれに対して反撃します。そしてあろうことかエリカの服装にまで言及し、今までのうっぷんを晴らすが如く徹底的に馬鹿にします。
エリカにとって自分のセンスを馬鹿にされることはあり得ないこと。絶対に自信を持っているそれを揺るがされれば切れることは必至。
―――それを日南は知っていました。
だから秋山さんと接して、エリカの悪口を共有して、エリカに反撃させるように誘導していたのです。そして、このタイミングで言わせるようにお膳立てまでしていたのです。
つまりは全て日南の手の中。逆鱗にかられたエリカは、日南の読み通り秋山さんに手を出します。
机ごと崩れ落ちる秋山さん。そして目に指が入ってしまったのか、崩れ落ちた後は目を抑えながらうずくまってしまいます。
目に対して攻撃が加えられるというのは非常に重い意味があり、絶対にやってはいけないタブーみたいな雰囲気があるのは皆さんお判りでしょう。
流石にここまでは想定していなかったのでしょうが、日南にとっては幸いなことに、エリカがやった行為は世間一般から見てあまりにも認められない行為になってしまいました。
今までギリギリ周りから責められない範囲で嫌がらせをしてきたはずだったのに、明らかに許容範囲を超えた『やりすぎ』な行為をエリカはしてしまったのです。
そこですかさず謝ればこの事態は収束したかもしれません。やりすぎた、ごめん。で済んだのでしょう。実際エリカもそうしようとしました。
”謝りなよ”
しかし、日南はそんなこと許さない。徹底的に追い詰めると決めた日南はその退路を断ちます。
「謝りなよ」と一言言ってあげるだけで、この問題はこじれにこじれます。
敵対視してる日南からそんなことを言われてはエリカが素直に謝れるわけがないからです。
そうして読み通り謝らず屁理屈をこね始めたエリカに待っているのは周りからの「最低だなあいつ」という空気。もう、収集はつけられません。
謝れなくなったエリカと、謝りなよと言い続ける日南。その言葉を発する度にエリカの立場は悪くなり、空気は完全にエリカを包囲します。
耐え切れなくなったエリカは自然と涙を流しながら泉と中村の関係にも言及。それで立場がより悪くなるにも関わらず、もう止められない状態になります。
ちょっと長くなりすぎるので省きますが、日南の策はここで終わりじゃなく、さらにエリカをどん底に叩き落し、クラスからエリカが嘲笑され、責められるように仕向けていました。
もはやクラス全体がエリカの敵。エリカがいままでたまちゃんにしていたことが、今度はエリカに降り注ぎます。
机をけられたり、陰で馬鹿にされたり……。完全に「都落ち」が起こりました。
弱者はエリカで、虐げられる存在に。日南の完全に読み通り。
しかし、そこで声を上げたのは今までエリカによってその立場に落とされていた筈の少女でした。
強キャラ、たまちゃん
「そういうの良くない!」
と声を張り上げたのはたまちゃんでした。
いままで虐げられていた存在のたまちゃんが、なんとエリカを庇ったのです。
しかも友崎と練習していた、可愛げのある表情と、しぐさと、話し方を存分に使って、自分の意見がクラスに受け入れられるテクニックを使って。
たまの正しさを、友崎が教えたテクニックで浸透させる。そんな神業をたまちゃんはやってのけたのです。
自分の正しさは一切曲げることなく、しかし皆に認めさせるように少し加工して。
果たして、たまちゃんの主張はクラスの皆に受け入れられたのです。
そしてたまちゃんもクラスのみんなから理解されるようになりました。
「一本芯の通った、可愛い子」として。
弱キャラ友崎くんLv.5 感想と考察
たまちゃんについて
内容紹介くっそ長くなりましたね。5000字書くってなんだよ。半端ねえな。
さて、友崎君の五巻の中身はこんな感じでしたね。
個人的にこの巻を読みながら危惧していたことが一つあって、それはたまちゃんが友崎のやり方を真似て自分を曲げてしまうこと、でした。
声のトーンを変えたり、話し方を変えたりするのはありでしょうが、それでたまちゃんの良さを消してしまうという展開になっちゃうんじゃないかと密かに危惧してました。
日南と同意見で、彼女が自分の正しさを曲げてしまうのは個人的にマジで嫌でした。なので、今回のオチは最高に良かったと思います。
何が良かったかって、たまちゃんが一切自分の正しさを曲げることなく、表現の方法のみを変えて自分の意見をクラスに押し通したところです。
彼女は最後、自分の正しさは一切曲げていないのです。良くないと思ったことを良くないと正々堂々と伝えている。
クラスの空気がエリカを弾圧しようとしている所に「んなこと止めろ!」というのは本当に度胸がいることです。
そしてそれをやってエリカの時は失敗したわけですが、今回は違います。
得たテクニックを駆使し、クラスの空気をすべて自分の味方につけて、そして自分の意見を押し通す。
そんな、完璧なことをたまちゃんはやってのけたのです。
恐らくは日南が想像していた以上のことでしょう。完全に師匠である友崎を超えています。
結構感動しました。
全てに対してたまちゃんの完全勝利。
自分の意見を曲げないというたまちゃんの気質。クラスの雰囲気。そしてイジメを行っていたエリカを庇うことで人間的な大きさを見せつけて、エリカにも完全勝利と言えるでしょう。
なんというカタルシス!なんという爽快感!この巻はほんとに素晴らしい一作だ!
日南について
ただ、この巻で不審だったのが日南です。
一貫してたまが変わることには抵抗を見せており、友崎のやることを否定こそしないものの、肯定も協力も一切せず、エリカを貶めることのみを目標にして行動していました。
この「たまが変わることを否定する」所についてちょっと考察。
私の考察だと、日南はたまに「絶対的な正しさ」を見ているように感じます。
もしかすると日南には「絶対的な自分という存在」が無いのかもしれません。
ただ完璧な人間としてあり続けることを目的としていて、何かになるための手段であったはずのそれがいつの間にか目標にすり替わってしまい、ゴールがない砂漠を歩いているみたいな。
自分というものが存在せず、ただ努力し続けるだけの機械に近づいてしまっている的な。
しかしながらたまには絶対的な正しさ、つまりは確定した自己が存在します。
アイデンティティと言うんでしょうか。自分らしさ。自分を自分足らしめている強さ。
友崎も一見自分がぶれているようなキャラに見えるかもしれませんが、実はそんなことは無く、一貫した自分を持っているのが友崎という存在です。
アタファミにかける情熱も然り、時折見せるこだわりも然り。
そんな自分にはない芯を持っている二人を日南は「似たもの同士」と表現し、羨ましがり、だからたまには「変わってほしくない」と言っているのではないかなぁと想像します。
あくまで想像なんですけどね。六巻以降で明かされていくことを期待しましょう。
弱キャラ友崎くんLv.5まとめ
いかがだったでしょうか。ちなみにこの感想、作者様から引用リツイートいただいていたりします。
おにただ!(使い方違う)
過去最長なんじゃないかくらいのがっつりとした感想に感謝です… https://t.co/myFwKUW3B9
— 屋久ユウキ@アニメ化進行中 (@Yaku_yuki) November 23, 2017
びびりましたね。特に何がビビったかって、作者から引用リツイート貰ってるというのに、花火ちゃんを火花ちゃんって書き間違えてたことかな!
さて、それはさておき。
たまちゃんの成長と、日南の不審な動き。そして着実にレベルアップしていっている友崎と、水沢の内面。
この神作、久々に続きが期待できるライトノベルですよ。
読んだことのない人はぜひ買いましょう。これはかって損をしない作品です。
今後の日南の内面とか、水沢の感情とか、非常に楽しみでさっさと六巻が発売してほしい次第ですね。
さて、長くなりましたが、今回はここまで。
それではここいらで失礼をば!
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