どうも、しなーです。
今年の四月あたりには発売すると言われていた俺ガイルの12巻ですが、ようやく9月になって発売しましたね。
長かった……。11巻からどんだけ待ったと思ってんだよ渡……。
谷川状態になってしまったんじゃないかと心配したぜ……。そしてハルヒ最新刊はいつ出るんだよ……。もう出ないのか?
さて、そんな12巻、ついに読破しました!
一人で胸の内に感想をしまっておくのも忍びないので、12巻の内容について触れながら僕なりの考察と感想をしていこうと思います。
注意点ですが、こっから先は存分にネタバレがあります!
ネタバレらめぇ!な人は絶対に見ないように!
https://www.nicokira.com/20171217media/
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12巻、あらすじ
バレンタインデーのイベント、水族館での雪の日を経て、自分たちが踏み出すべき一歩を定める八幡たち。そんな奉仕部に、ある大きな依頼が持ち込まれる。その依頼に対して、雪乃が決意とともに出した答えとは……。―――たとえ、その選択を悔いるとしても―――。時間の流れがいつか自分たちを大人にするのかもしれない、出会いと別れを繰り返して人は成長するのかもしれない。でも、いつだって目の前には「今」しかなくて―――。それぞれの思いを胸依抱えながら、八幡、雪乃、結衣が選ぶ「答え」とは。新たなる青春群像小説、物語は最終章へ。
12巻裏表紙より引用
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11巻からの流れ
11巻のラストではゆきのん、ガハマさんと一緒に八幡は水族館へ行きます。
そこで偽りに満ちた関係を楽しんでいると、雪乃が一言切り出します。それが「奉仕部に私から依頼をしたい」ということ。
9巻の修学旅行以来、壊れたり治ったり、でもやっぱり綻びが見えていた奉仕部の関係。
それを直して、そして再構築する一歩に、この依頼はなるのか―――
という所で11巻は終わっていました。まさに12巻はそこからの続きで、冒頭はゆきのんのお願いから始まります。
雪ノ下雪乃のお願い
雪ノ下雪乃。彼女は完全にこの物語のキーを握る存在であり、彼女の問題が解決されずして奉仕部の問題は解決され得ません。
その彼女が直々に、しかも奉仕部にお願いをしてきました。
12巻の冒頭では、まず直接その願いに踏み込むことはなく、三人で今までの自分たちの軌跡を語り合います。
林間学校に行ったこと、学園祭をやったこと。秋の修学旅行に、冬のクリスマスパーティー。
自分たちが関わり、そして関係を壊すきっかけになったことにも、少しふれながら、とりとめもなく会話をします。
そして、八幡が徐に「お前の話を聞いていいか?」と切り出し、雪乃の独白が始まります。
雪乃には実は夢がありました。それは「父の仕事を自分が継ぎたい」ということ。
雪ノ下家では、既に雪ノ下陽乃がそのポジションに収まっています。
父の仕事を継ぐのは陽乃で、それは母によって既に決められた決定事項です。
曲げることは能わない、絶対の事項。それが母の決定であり、意思となっているのが雪ノ下家。
だから雪乃は今までずっと諦めていたそうです。父の後を継ぐことを。絶対なる存在の決定が頭上には常にあったから。
でも、やっぱり諦めきれなかった。どうしても継いでみたいという思いが消せず、それが自分の本当の想いなのだと自覚しました。
そして、雪乃は母にその思いを伝えることを決意します。
そして雪乃のお願いとは、それを二人には見守ってもらう(自分一人でやり遂げるのを見届けて欲しい)ということでした。
まぁぶっちゃけ僕らの家庭ならそんな難しいことじゃありません。
「お母さん、僕東京の私立行きたい!」とか「親父の後を継ぎたい!」とかってすぐ言えるじゃないですか?
でも、この一家はそうじゃない。
静かなる絶対君主である母親が凄すぎて、雪乃は逆らえていなかったわけです。
でも、いわば今回は一種の反逆をすると決めました。
恐らくそれは雪乃にとってとてつもない決断。正直「おーがんばれよ」ぐらいで返してしまいそうですが、本当に重い決断だったのでしょう。
その願いに賛同する奉仕部。そうして出てくる雪ノ下陽乃
奉仕部の面々がその願いを断る訳もなく、当然承諾。
手始めに、陽乃が待つマンション(雪乃の部屋)へと向かいます。
そこで出迎えてくれたのは酒に酔った雪ノ下陽乃。
いつもの魔王みたいな雰囲気ではなく、酒の力で少し雰囲気が軽くなっている様子。
雪乃が聞いてほしい話があると言って切り出すと、「……ああ、そっちか。私が聞きたい話じゃなさそうだね」と落胆しながらも聞く姿勢には入ります。
恐らく本当に聞きたかった話というのは奉仕部の三人の関係について。
この、どうしようもない三人の関係(後述)についての雪乃の考えを聞きたかったのでしょう。
ちなみに結衣のみがこの意味をしっかり把握していたという様子でした。そしてそれを陽乃もわかっていた様子。
とにかく雪乃が自分の思いを話すと、陽乃は「応援するよ」と軽い様子。
妹の決断を尊重しない姉はいない、ということですが、なんとなく私は腑に落ちず。
とにかく話はそれで終わり、部屋に泊まる結衣と雪乃を残して、陽乃と八幡は外に出ます。
雪乃はどうやら実家に帰るらしく、結衣はその手伝いをするために泊まるそうです。
お酒を買いに行く陽乃も雪乃の部屋を使うらしいですが、八幡と二人で買い物へ。
そこで男と二人で酒を飲んでいたようなことを仄めかす陽乃ですが、それよりも気になるのが八幡に言った、
「君は酔えないよ」
とうセリフ。
陽乃はいくらお酒を飲んでも、常に自分の後ろには冷静な自分がいて、常に冷めて周りを俯瞰してしまうのだそう。
飲みすぎて吐くことはあるみたいなので、つまり体は酔えても心が酔えないということでしょう。
て、哲学ぅ!!!
そして、八幡もそのタイプだと陽乃は言います。本人も、それを何となく自覚しているそう。
酒を飲むと心も体も十二分に酔えるアルコール中毒者な私なので納得はできませんが、推測と理解くらいはできます。
要するにアルコールを飲んでも心から楽しめないということ。
その状態に彼と彼女はなっているということなんでしょうね。
ちなみにですが、雪ノ下陽乃が酔えるようになるには、多分心の底から楽しいと思える体験をしないとダメなんでしょうね。
人間が満足できるか否かにはたった一つの要素だけが相関しています。
それは楽しめるかどうか。
おそらく、陽乃は何も楽しめない女性なんでしょう。
本物だのなんだのって小難しく言ってますが、人間、満足するために必要なことはたった一つです。
楽しめれば、人間なんだって満足できるものです。
彼女に足りないのは本物だのなんだのじゃなくて、満足感。そしてそれの大本となる喜びの感情なんでしょう。
と、稚拙な推測をしております。
迫りくる小町の受験
季節は冬。小町の受験の季節です。
下手をすると小町以上に緊張している八幡ですが、もう一人、自分の年下の家族の受験を見守っている方がいます。
その名は……えっと、川……川本?
とにかく川なんとかさんです。
その川なんとかさんと、その妹の川崎京華がいるカフェの前を偶然通りかかり、八幡が少し会話をします。
小町も加わり……的なのが間に挟まります。正直ほのぼの。
雪乃の選択。一人でやり遂げる「プロム」
プロムとはプロムナード(舞踏会)の略称。主にアメリカやカナダなどの北アメリカで行われる高校の卒業パーティーのことです。参加者は希望制度。だいたい4〜6月にあります。アメリカなどでは定期的にダンスパーティーは開かれますがプロムはその中でも最も特別な学校行事!会場もいつもより一層豪華なことはもちろん、参加者も普段のダンスパーティーよりもドレスアップやメイクに気合いを入れます。プロムは主に高校の行事ですが、大学で開催されることも。
NEVERまとめより引用
つまりは小規模な舞踏会。それがプロムナード。
それをやりたい!と生徒会のいろはすから相談を受けます。
……まーたなんか火種持ってきたよいろはす。絶対こんなの碌なことにならんだろ。
しかもそれを二つ返事で受け入れたのはなんと雪ノ下雪乃。
加えて奉仕部の二人には手伝わないでほしいという注文までついています。
……絶対にろくなことにならねぇwwwwwwwwwww
間違いなく問題が起こります。例えばはるのんとかはるのんとかはるのんとか。
でも、途中までは全然問題なく進んでいきました。
成功したプロム宣伝と、小町の合格
男装した雪乃がお姫様に扮したいろはすをエスコートするという催しで、プロムの宣伝をした雪乃。
他にも戸部たちの協力を仰いで盛り上げたそれは、大成功に終わり、非常にいいスタートを切ります。
また、小町も高校を合格し、来年には総武高校の一員となることが決定しました。
おめでたい!!おめでとう、小町!!!!!
あと大志もだそうです。おめっと。
ここまで順風満帆。何の問題もなし。
でもなぁ。問題が起こらないわけないんだよなぁ。
雪ノ下母の襲来
プロムの開催が順調に進んでいたところ、ままのんが襲来します。
内容はプロムの見直し、もしくは中止。
どうやらOB層あたりの頭の固い阿呆な輩(しかも相当高い位置の人)から、反対が入りままのんが直談判しにやってきます。
ままのんが通されたのは応接室。応接室に通すということは相当に重大な対応を学校がしているということです。
ままのんの主張(プロムを辞めるべきとの言)に固まる雪ノ下。良い返しはしますが、残念ながら通用しません。
いろはすも毅然として言い返しますが、ままのんは理屈が通じないタイプ。
理詰めでくる相手には冷静で柔和な感情論で、感情論でくる相手には秦の通った理詰めで対応して、決して自分の芯を曲げないタイプの人間です。
ややこしいっていうか面倒過ぎる相手。それがままのんの正体でした。
絶対に自分を曲げない、柔和ながら鋼の女。それがままのん。
これは手ごわいぞ……。
これに勝てる相手は恐らく真正の馬鹿か、本当の天才とかそのあたりぐらいでしょうか。いや、年下で権力で負けている段階ではそのどちらでも勝てないかもしれません。
奉仕部の「共依存」
嵐のようなままのんが去ると、陽乃と八幡の一対一のお話し合いに。
陽乃曰く「八幡がここで手を出すのは雪乃のためにならない。あの子が成長しようとしている目を積もうとしている行為」とのこと。
初めて雪乃が成長しようとしているのに、その成長を妨げる行為だと、そう言うのです。
そして、八幡、雪乃、結衣の関係性について、具体的に陽乃は指摘します。
三人の関係は友達でも仲間でもない。
それはもっと醜い「共依存」である、と。
雪乃が確かに八幡に依存している感じの描写はありました。
でも、実は八幡も雪乃に依存していた。雪乃に頼られることに快感を覚えていたんじゃない?と陽乃に問われ、八幡は固まります。
雪乃は八幡に、八幡は雪乃に、結衣は雪乃に依存していると、そう言われたのです。
ただ、印象としてはそこまで響いていなさそうな感じ。
共依存であることは気が付いています。でも、思ったより言われてぐらっと来ていませんでした。
多分、八幡も気が付いていたのでしょう。そして……
プロムの中止決定。そして「約束したから」
ついに、プロムが中止に追い込まれます。
中止になるかどうかは、正直ままのんの襲撃の段階でも未定であり、対抗のしようもあったのでしょうが、八幡が知らない間にいつの間にか中止決定に追い込まれていました。
それは、当の雪乃が中止決定になったことを八幡に言われることを口止めしていましたせいであり、それが理由で八幡に伝わっていなかったのです。
それでも、八幡は手伝おうとします。そんな八幡に平塚先生は問いかけます。なぜ、助けるんだ?と。
言葉にするまで待つからと、言葉を促します。「言葉にしてくれ」と。
そんな八幡が回答は「……いつか、助けるって約束したから」
原作9巻のディズニーで、二人きりでアトラクションに乗ったときに雪ノ下が言った言葉を覚えていたわけです。
二人でアトラクションに乗り、落下する際に雪乃が八幡に言った一言。
「いつか、私を助けてね」
これに対する回答が、平塚女史への回答と相成りました。
八幡らしくもない、ロジックもなにもない、ただの口約束に基づく感情論。根拠も証拠も何もない、当事者二人の間でしか成り立たない不安定で見えないそんな不確かなものに基づいて、八幡は行動するというのです。
でも、平塚先生は「それでいい」と満足げにうなづきます。
そして、結衣の前で雪乃を助けるために雪乃の元へと旅立つ八幡。
果たして、結衣はその姿をみて泣いていました。
由比ヶ浜結衣の気持ち
由比ヶ浜結衣は、雪乃の気持に当然気が付いていました。
八幡は、自分にとってのヒーローでした。自分が可愛そうなこになれば、絶対に八幡は助けてくれます。
でも、結衣はもう助けてもらった。だから、結衣にとって八幡はもうヒーローではないのです。
「いつか」誰かが助けてくれる、そんな「いつか」を八幡が助けてくれて、もうその「いつか」は終わってしまった。
八幡は、ヒーローじゃなくなってしまいました。
でも、代わりにヒーローとしてじゃなくてもいいから、近くにいて欲しかったようです。
友達でもいいから、恋人としてじゃなくてもいいから、そばに。そう思っていました。
多分、結衣は本物なんて欲しくなかったんでしょう。
本物じゃなくて、偽りの関係でもいいから、三人のあの関係のまま過ごしていたかったんでしょう。
雪ノ下に依存していたのも、それなんでしょう。もしかすると、その関係を保つために雪乃に依存する形で邪魔をしていたとも解釈できてしまいますね。
複雑な乙女心!
まとめ
2年まっただけあったかな?という内容ではあったかなぁ。
ちょっと内容薄かったかもしれないですが、11巻のあの飛んでもない内容の薄さが頭をよぎっていたので、12巻は満足できました。
実質12巻は結衣の物語であることが面白かった。
拍子は雪乃だし、ままのんが目立ってましたが、実は結衣がキーキャラクター。結衣の独白で、紐解けるものがあったというかなんというか。
この巻は結衣の巻。そう思わせる最後の独白でした。
ちなみにラスボスはままのん……じゃなくて、多分はるのんだと予測。
ままのんはなんだかんださらっと倒しそう。さらっとではないけど、八幡が何とかするでしょう。
そして何とかした先に立ち塞がるのが陽乃……。そんな構図が見えてきますね。
彼女を楽しませる何か、納得させる何かを八幡は提示できるのでしょうか。楽しみです。
さて、今回は俺ガイルの12巻レビューでした。いかがだったでしょうか?
この作品クソ面白いので絶対買いましょう。
さて、それでは今回はこのあたりで失礼をば!