前回、スルガ銀行がいったい何をやらかしてしまったからあれだけ大きな問題になったのか?を解説しました。
https://www.nicokira.com/20181213nikkei/
「貸しちゃいけない人にお金を貸した」からお金が回収できなくなり、大変な事態になってしまったのだ
と前回の記事では纏めましたが、正直これだけではやや不正確というか、情報量が足りていません。
前回の解説ではこのスルガの融資を語るうえで殆ど解説していない部分が合ったのです。
それが「サブリース会社」の問題です。前回使った図でいうと右下の赤い矢印の部分ですね。
今回は、そのサブリース問題について語っていきたいと思います。
少々難しいですが、分かりやすく解説しますので、是非ご覧ください。
①まず初めに:サブリースとは
サブリースとは物件を一括賃借し(マスターリースともいう)、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態である。物件の所有者が運用ノウハウ、運用体制をもたない場合などに、サブリーサーにフィーを支払って運営代行を委託し、サブリーサーは自社の持つノウハウ、人員を用いて物件を円滑に運営する。長期的に家主の利益を保証する契約ではないため十分な注意が必要である。
wikiより引用
wikiの説明文だとなんのこっちゃ?って感じですよね。
なのでサブリースを簡単に言いかえると、
- まず僕らがアパートとかマンションを買って
- その物件を管理してくれる会社に貸して
- その会社がオーナーから借りている物件をお客に貸す
というまた貸しの契約のことをサブリースと言います。
サブリースのメリット
その①:手続きが簡単になる
まずこのサブリースのメリットとして、アパートとかの所有者が煩わしい手続き等をしなくてもいいことが挙げられます。
例えば、
- 家賃の回収
- 維持管理(修繕など)
- 入居者の募集
- 入退去時の煩わしい手続き
を全部サブリース会社に任せることが出来るのです。
その②:空室があっても家賃が保証される
そしてサブリースなら空室があっても家賃が保証されます。
何故かというと、サブリース会社はオーナーから物件を借りています。
そのため、オーナーに賃貸料を支払うのはサブリース会社であり、お客さんではないのです。
図にするとこんな感じです。
このように間にサブリース会社が入っていて、オーナーからサブリース会社が部屋を借りているという形態なので、オーナーは入居率による家賃の増減心配をしなくてもいいのです。
入居率を気にするのはまた貸しをしているサブリース会社の仕事。
入居者から家賃を受け取るのもサブリース会社なのです。
なので、オーナーは入居率等を気にせずサブリース会社から家賃を受け取っていればいいのです。
サブリースのデメリット
その①:通常より家賃収入は減る
普通に営業するより、家賃収入は減ります。
こちらをご覧ください。
リース会社は入居者から得た収入の一部を手数料として受け取ったうえでオーナーに渡します。
また、敷金・礼金などのお金は全部サブリース会社が持っていきます。
なので、
家賃が保証されるという安心感はあるが、トータルの家賃収入は減る
のがサブリースという形態なのです。
その2:サブリース会社がクソな所だと収入がゼロになる恐れがある
実はサブリースの契約って、「2年ごとに契約内容を見直す」としている業者が結構多いそうです。
なので最初は
「家賃の8割を保証します!」
と言われてサブリースを契約したのに、更新が来たら
「すみません!家賃保証は今後無くなります!」
みたいなふざけたことが起こり得るのがサブリースという形態なのです。
最早詐欺クラスですが、契約書を読み込んでいない家主にも問題はありますし、何とも言えない所。
そして、今回スルガ銀行の不正融資が発覚したのは、この家賃保証をサブリース会社が出来なくなったのが原因です。
②スマートデイズという会社がオーナーにお金を払えなくなった
「かぼちゃの馬車」という女性専用のシェアハウスが大量に存在しました。
そこを運営していた会社がスマートデイズという会社で、このシェアハウスの建築・販売を担当していたそうです。
しかしこの「かぼちゃの馬車」が超絶不採算物件でした。
立地条件、物件内容が最低で、入居率は低迷、当然家賃収入も全然入ってきません。
そうなるとどうなるか。
上の図をみて分かる通り、サブリース会社は入居者からの家賃収入を元にオーナーにリース料(賃貸料)を支払います。
なので当然賃貸料が無い状態ではリース料(オーナーへの家賃)なんて払えるわけがありません。
そしてスマートデイズはオーナーに対し、リース料が払えない旨の通達を発表。これを契機にスルガの不正融資が発覚致しました。
③スマートデイズの手口
まずは一番最初に、シェアハウスのオーナーになる人間を探します。弁護士や医者であれば最高ですが、オーナーはある程度誰でも大丈夫だったのでしょう。
そして次に、サブリースの素晴らしさを語ります。
「家賃保証が付いているので、入居率が低くてもうちが保証します!」
「煩わしい手続き無しに不動産で運用ができます!大丈夫です!」
なんてことを言って勧誘したのでしょうね。完全に詐欺ですが、それでオーナーの心を掴みます。
そしてオーナーが不動産を購入すると言った場合、銀行に融資を受けさせに行きます。
融資が許可されたら、その融資金でオーナーに物件を購入してもらい、お金を得ます。
そして最後にその融資金でオーナー達へリース料を支払っていました。
典型的な自転車操業ですね。そんなものが上手くいくわけなく、融資が受けられ無くなったことを契機に、リース料の支払いが出来なくなったわけです。
④スルガはそんな不採算事業に融資していた
その事業が不採算かどうか、銀行が分からない訳がない
スルガはそんな不採算な事業に融資をしてしまっていた訳ですが、
普通銀行が不動産融資をする際には
- 不動産収入、オーナーの収入が年でいくらお金が入って来るか(収入)
- 維持管理費・借入金の返済でいくらお金が減るか(支出)
を徹底的に検証して、融資が出来るか出来ないかを決定します。
具体的には
「その不動産の立地がどうか、今の入居率はどうか、その近隣の不動産の採算はどうか、今後入居率が悪くなるような要因が無さそうか」
などを徹底的に調べるのです。
なのでぶっちゃけた話、かぼちゃの馬車が不採算事業(儲かってない)なんてことは一発でスルガ銀行は見抜いていた筈です。
その上で不動産会社(スマートデイズ等)にも書類の偽造を依頼し、あたかも儲かっているかのように見せかけたのでしょう。
そんなことをしたのは、過酷なノルマが原因だったそう
スルガ銀行、ノルマが死ぬほど厳しかったとか。
銀行と言うのは得てしてノルマが厳しいものですが、その中でもスルガ銀行はとんでもなかったそう。
「月一億円の融資案件を取ってこい!取ってくるまでは営業室に入れねえ!」
ぐらいのパワハラは当たり前だったそうです。
そのため
- 不動産の収入を事実より多く見積もり
- オーナーの資産も事実より多く見積もって
まで融資をしてのだとか。
スルガ銀行は「儲かっていない事業に、自分たちの実績を積み重ねるために(ノルマのために)書類を偽造してまで融資をした」のです。
⑤発覚へ
儲からない事業に投資して、お金が儲かる訳がありません。
殴られたら痛い、息をしなくなったら生命活動が停止する、ぐらいには当たり前で、当然の理です。
そして今回も当然、スマートデイズは全く儲け(入居者からの家賃)を得ることが出来ませんでした。
するとどうなるか。
サブリース会社であるスマートデイズはオーナーにお金を払えません。
そしてオーナーもサブリース会社からの支払いが無いので、銀行にお金がかえせません。
かくして、スルガ銀行はお金の回収が出来なくなり、不正融資問題が発覚したわけです。
まとめ
以上が、スルガ銀行の不正融資の一連の流れになります。
流れを簡単に纏めると、
- サブリース会社がオーナーに儲かっていない物件を売りつける
- オーナーが儲かっていない物件を、銀行の融資を受けて買ってしまう
- 儲けが出ないので、サブリース会社がオーナーにお金を払えなくなる
- オーナーが銀行にお金を返せなくなる
というもの。
そしてスルガ銀行が行った不正は、
- オーナーの収入や資産に関する書類を偽造した
- 不動産会社(サブリース会社)と組んで不動産の儲けを偽造した
というものです。
前回の解説で私は、「スルガ銀行はお金を貸してはいけない人に貸してしまった」と申し上げましたが、今回でその意味が詳しく分かって貰えたかと思います。
収入も大してない人で、しかも儲からない不動産を買おうとしている人に、書類を偽造してまでスルガ銀行はお金を貸したのです。
こんな庇いようがない愚かな事件。それがスルガ銀行の不正融資問題だったのです。
さて、今回の解説記事はいかがだったでしょうか?
時期はズレましたが、理解しておいて損はない時事問題です。是非一般常識の補完や就活対策に役立ててください!
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※もし今後解説してほしい時事問題等がありましたら是非ご一報ください。極力分かりやすく解説させて貰いますので。
前回記事
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